14. 認知症とは?

認知症とは、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態です。物忘れなど認知機能の低下を特徴とする軽度認知機能障害(MCI)のあるヒトは認知症に移行する可能性が高くなります(約半数は5年以内に発症)。アルツハイマー型認知症は、認知症の中で最も多く、加齢は認知症のリスクファクターです。今後、日本では65歳以上の高齢者で約5人に1人が認知症になると予想されています。認知症の症状は、記憶障害や見当識障害、理解力・判断力の低下などの中核症状と、行動・心理症状(BPSD; Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に大別できます。アルツハイマー病の根本的な治療法はないため、完全に治すことはできません。できるだけ症状を軽くし、進行の速度を遅らせることが現在の治療目標となります。アルツハイマー病の原因は未だ解明されておらず、全世界でその原因解明に向けて研究が展開されています。

脳内の神経細胞膜に発現するアミロイド前駆体タンパク質は酵素により切断され、アミロイドβが細胞外液に分泌されます。アミロイドβのなかで、アミロイドβ1-42(Aβ1-42)という42個のアミノ酸からなる蛋白質は自己凝集能が高く、より毒性が高い可溶性のオリゴマーに容易になります。物忘れなどの症状が進行する前から脳内にアミロイドβは蓄積することから、アルツハイマー病の原因物質ではないかと考えられています。

ポイント アルツハイマー病の原因は未だ解明されておらず、根本的な治療法はないので完全に治すことはできない